リハビリテーション科では…

リハビリテーション科とは、病気やケガによる身体機能の低下や障害を回復・改善し、患者の生活の質（QOL）を向上させることを目的とした医療分野です。リハビリテーション科は、身体機能だけでなく、精神的・社会的な機能の回復にも取り組み、患者が可能な限り自立した生活を送れるよう支援します。

運動器の障害

運動器とは、骨、関節、筋肉、腱など身体の動きを支える部分を指します。これらが損傷を受けると、動作の制限や痛みを引き起こします。代表的な疾患には、以下があります。

骨折や関節の疾患

骨折は外傷や老化による骨の脆弱性が原因となり、日常生活に大きな支障をもたらします。また、変形性膝関節症や肩関節周囲炎のような関節疾患は、関節の痛みや可動域の低下を引き起こします。リハビリテーションでは、筋力や可動域を回復させ、再発を防ぐための運動療法を行います。

捻挫や筋肉損傷、スポーツ障害

捻挫は関節周囲の靭帯が損傷した状態で、筋肉損傷は筋繊維の一部が切れるなどした状態を指します。スポーツ障害は、長期間の反復動作や過剰な負荷が原因で発生します。これらの回復を促進し、適切な動作を学ぶためのトレーニングが行われます。

神経系の疾患や加齢に伴う身体機能の低下は、日常生活に大きな影響を及ぼします。パーキンソン病や多発性硬化症、脊髄損傷などは運動機能を損なう代表的な疾患で、高齢者にはフレイル（虚弱）や廃用症候群が進行するリスクがあります。こうした状態を改善・予防するには、整形外科のリハビリテーションが重要な役割を果たします。専門的なリハビリプログラムでは、筋力や関節の柔軟性を回復させ、転倒や関節拘縮を防ぐ訓練を行います。適切な運動療法や物理療法を通じて、患者一人ひとりに合ったサポートを提供することで、機能回復や生活の質向上が期待できます。早めに専門医へ相談し、リハビリを始めることが健康な生活への第一歩です。

がんリハビリテーションは、がん治療中または治療後の身体的・精神的な機能回復を目指す重要な取り組みです。手術や化学療法、放射線治療は、治療効果を得られる一方で、体力低下や痛み、筋力の減少、さらには精神的なストレスを引き起こすことがあります。リハビリテーションは、これらの副作用を軽減し、患者が再び日常生活を快適に過ごせるよう支援します。具体的には、筋力や体力を回復させる運動療法、リンパ浮腫の管理、痛みの緩和、そして心理的サポートを含む包括的なケアを提供します。がん治療とリハビリを併用することで、治療後の生活の質を大きく向上させることが可能です。専門医との相談を通じて、適切なリハビリプログラムを取り入れることをお勧めします。

リハビリテーション科では、医師、理学療法士（PT）、作業療法士（OT）、言語聴覚士（ST）など、多職種が連携して治療を進めます。これにより、患者の身体的、精神的、社会的なニーズに応じた包括的な支援が可能となります。

リハビリテーションは、単なる治療ではなく、患者自身が主体的に回復を目指す過程を支援する医療分野です。そのため、患者との信頼関係が重視され、個々のペースや目標に合わせた治療計画が立てられます。